キャリア

2026年01月28日

建設の仕事で大切なのは困難から逃げないこと 経営者になって業界の働き方を変えていきたい

建築士だった父親の影響で、幼少期から将来は建築の仕事に就こうと考えていた葉山研生さん。自身のモットーである「継続と努力」で、一級建築士や1級建築施工管理技士、MBA(経営学修士)など複数の資格や学位を取得し、現在は5カ国370施設の施設管理統括マネージャーを務めている。「自分は専門家ではなくジェネラリスト」だと言う葉山さんに、今の仕事に活きているという若い頃の現場経験や、学び続けることの重要性、年齢を重ねるにつれて変化していった仕事観など、幅広い観点で語ってもらった。

目次

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※インタビュー前に、ご自身を形成したものや人について教えていただきました

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父親の影響で5歳の時から建築士を志した

私は、小さな工務店を経営していた建築士の父が忙しくも楽しそうに働いている姿を見て、建築の仕事に興味を持つようになりました。父は20年以上前に他界しましたが、今でも父の仕事に対して感謝をしてくれる方がいるんです。将来は自分も父のようになりたいと思い、5歳の時に建築士を志すようになりました。

高校時代から本格的に建築の勉強を始め、大学は建築学部に進学してデザインを学びました。大学卒業後は、海外の方々と協力して国内を回る2年間のボランティア活動を経て、まず建築士の資格を取るために必要な実務経験を積むべく、ゼネコンに就職したんです。そこで、現場監督としてキャリアをスタートさせました。

現場監督時代はほとんど休みがなく、工期や予算も限られていて、これまでのキャリアを振り返っても最も大変な時期でした。新入社員だったにも関わらず中途社員扱いだったため、仕事を一から教えてくれる人が誰もいなかったんです。そのため、職人さんに直接聞いて回り、手で仕事を覚えていきました。その過程で、「逃げないこと」「最後までやり切ること」「常に正直であること」の大切さを学び、次第に周りの方々が味方になってくれるようになりました。建築業界に入る人の多くは、一度はそういった壁にぶつかるのではないでしょうか。その時に逃げずに壁を乗り越えられるか否かが、以降のキャリアに影響してくると私は思っています。

必要に応じて複数の資格を取得

現場監督時代の仕事で今でも特によく覚えているのは、初めて担当した現場です。施主が建築家で、非常にレベルの高い要求をしてくる顧客だったために苦労しましたが、最後までやり抜いた結果、感謝の言葉をかけていただき、大きな達成感を得ることができました。その過程で失敗も経験し、最初はそれを一人で解決しようとしましたが、最終的には上司の力を借りることにしたんです。当時の経験から、自分のミスを素直に認め、人に助けを求めることの大切さを学びました。

私は、一級建築士や宅建(宅地建物取引士)、1級建築施工管理技士、マサチューセッツ州立大学MBAといった資格と学位を保有しています。自分が所属する組織において必要かどうかが、それらの資格取得の主な動機となりました。一級建築士はキャリアのスタートラインとしてまず必要だと感じ、宅建や1級建築施工管理技士は不動産デベロッパーとして働く中で業務上必要とされたために取得した次第です。その後、マネジメント職に就いた際に経営層から勧められたことがきっかけとなり、経営者になるための準備としてMBAに挑戦し、取得しました。

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自分の任務は社会に貢献する人材を育てること

私は外資系法人でプロジェクトマネージャーとして複数の建設・不動産業務に携わる中で、自分の資質は特定の「専門家」ではなく「ジェネラリスト」であり、プロジェクトマネジメントが最も向いていることに気付きました。現在は、5カ国370施設の統括施設管理マネージャーとして、地域ごとのマネージャーの指導やトレーニングを行い、品質や費用、人材の管理を行っています。この仕事で最もやりがいを感じるのは、指導したスタッフが成長する姿を見ることであり、社会に貢献する人材を育てることを自分のミッションだと感じています。

2024年にファシリティマネジメントの責任者になったので、現在は認定ファシリティマネージャーの資格取得に向けて勉強中です。リスキリングは今後も生涯にわたって必要だと考えています。とりわけ、資格取得の勉強を通して得た知識を、実際の業務にどう活かすかが重要です。AIが普及する今のような時代には、うそと本当を見分け、正確な情報を活用するスキルが求められるのではないかと思っています。

年齢や立場によって変化していった仕事観

これまでのキャリアを振り返ると、20代の頃は現場で学ぶことに専念し、30代では後輩やスタッフの育成に比重を置きました。それが40代に入ると経営視点を意識し、会社全体の経営や社会の動向も考慮できるようになったんです。そうして視座が高まったのに伴い、部下や顧客に対して「なぜそうするのか」を説明する力も求められるようになりました。このように自分の仕事観は年齢や立場によって変化し、現在は「人と組織を成長させること」がその中心にあります。

先ほど現場監督時代についてお話ししましたが、当時は非常にハードワークでした。今は余裕ができてきたこともあって仕事とプライベートの両立を意識するようになり、「ワークライフバランスをないがしろにしない」ことを心がけています。仕事でどれだけ成功したとしても、家族との時間は取り戻せないため、部下にも家族を大切にするように促し、私自身もスケジュールを管理して家族と過ごす時間を優先しています。自分が何のために働いているのかと自問すると、もちろん顧客のためでもありますし、会社の経営や部下の生活を支えるためでもありますが、根底にあるのは自分の家族を幸せにすることであって、そのことは常に心に留めています。

家族と過ごす時間に加え、私はキリスト教徒なので、日曜日に教会へ行くことで自分の心を整えています。その他、プライベートでは音楽制作にも時間を費やしています。クリエイティブな活動を通じ、長年の経験によって形成された固定概念から脱却できますし、別の視点で物事を見られるようになるためにも、学び続けることの重要性を感じています。

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仕事の喜びを共有することで社会が豊かになる

建設業界の魅力は、大成建設さんのキャッチコピーにもあるように「地図に残る仕事」である点だと思います。自分が携わった建物を見ると誇らしく感じますね。他方、労働力不足や高齢化など、建設業界が抱えている課題を解決するためには、働き方を変えるための取り組みが必要だと考えています。AIやロボット、3Dプリンターなどの先端技術をうまく活用しながら、建設方法や業界の在り方を変えていきたいですね。

私自身、将来的には経営者となり、組織全体を変革していくことを目指しています。建設業界の働き方を改善し、誰もが自分らしく楽しく働ける環境を作りたいという思いがあるんです。最終的な目標は、子供たちが自分らしく、楽しく働ける環境を残すことです。仕事は喜びであり、その喜びを共有することで社会が豊かになるということを、次の世代に伝えていきたいと思っています。

※2025年9月に取材した内容に基づき、記事を作成しています。

この記事でキャリアした方のプロフィール

  • 氏名 : 葉山 研生 (はやま けんせい)氏
  • 従業員数 : グローバル全体=1000人以上 
  • 職種 : 5カ国370施設の施設管理統括マネージャー
  • 年代 : 40代

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